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大前研一「ニュースの視点」
2009/02/27
〔大前研一「ニュースの視点」〕
KON250 政府の追加経済対策(1)~まずは倹約に傾く消費者心理をリラックスさせよ~大前研一ニュースの視点~

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 追加経済対策
 公共事業の大幅前倒し
 09年度に集中実施で検討
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●政府の追加経済対策は、あらゆる点でポイントがずれている

 16日、政府・与党は追加経済対策に向けた2009年度補正予算案
 の編成で、多年度にわたる公共事業計画を09年度に集中実施す
 る方向で検討に入っています。

 光ファイバー網整備や公共施設の耐震化などが浮上しており、
 08年10―12月期の国内総生産速報値の落ち込みを受けた需要創出
 や雇用促進に重点をおくとのこと。民主党も独自の追加経済対策
 を打ち出す姿勢を見せています。

 米国で100兆円の経済対策を打ち出すというから、日本でも20兆円
 ~30兆円の経済対策をということなのでしょう。

 野党をしてもケチケチせずにもっと経済対策をするべしという意
 見ですが、私に言わせれば与党も野党も全く分かっていません。

 今政府が提案しているような経済対策では全く効果はないと私は
 確信しています。

 現在、景気が急激に落ち込んでいるのは消費者の心理が「倹約」
 に傾いているからです。

 不況に見舞われると、例えば、車の買い替えを3年から5年に、
 あるいは5年から7年に、というように車検1回分延ばそうと考
 える人が多いでしょう。

 また、テレビなどの買い替えにしても、それほど質が悪いわけで
 はないから買い換えるのは1年~2年待てばいいと考えるでしょう。

 先進国では基本的に耐久消費財はすでに満ち足りています。です
 から、不況時にこれを刺激するには、消費者心理を刺激すること
 が大切です。

 すなわち、リラックスした気持ちになって「お金を使ってもいい」
 と消費者が感じられることが重要なのです。「新しいものが出たか
 ら、欲しいね」と安心して思える心理を醸成することです。

 いくら公共事業で光ファイバー網を整備しても、北海道で道路を
 作っても、全く景気刺激にはならないのです。

 そんなことをしても、消費者は車を買い換えようとは思わないで
 しょう。

 日本はGDPの約55%を個人消費が支えています。1500兆円もの
 個人金融資産がありながら、それがマーケットに出てこないで眠
 っています。

 まさに、ここに問題があるわけです。私は何度もこの点について
 指摘していますが、政府や役人は全く理解していないようです。

 今の方向性でいくら政府が頑張ったところで、国民としては「そ
 れはそれでやってくれればいいや、自分はしばらく倹約しておこ
 う」と考えるだけで終わってしまいます。

 今回経済対策として打ち出された内容は、あらゆる点においてポ
 イントがずれていると指摘せざるを得ないと思います。

 では、実際に消費者の心理を刺激するためにはどうすれば良いの
 でしょうか?

 それは、例えば「今、車を購入してくれた人には重量税や取得税
 を免除する」といった対策になると思います。

 ●日本もアメリカも「心理経済学」を理解していない

 日本だけでなくアメリカでも、オバマ米大統領をはじめ、ケイン
 ズ経済学者は私が言うところの「心理経済学」を理解していない
 と感じます。

 今のアメリカ人の消費マインドは、バブル崩壊後の日本人以上に
 固く閉じたイソギンチャク状態になっています。

 今やアメリカ人は自動車はもちろん、すべての高級品を買わなく
 なり、ニーマン・マーカスやサックス・フィフス・アべニュー
 などのデパートは軒並み売り上げが大幅に落ち込むという
 惨憺たる状況に追い込まれています。

 だから、私はオバマ大統領が8380億ドルの景気対策を打っても、
 その経済誘発効果はさほど期待できないと思っています。

     *     *      *

 不況や危機において、消費者は身構えています。心理をリラック
 スさせない限り、それを崩すことはできません。

 新しい需要を生み出す発想こそ、今、必要な不況対策なのです。
 政府にはこの点を理解してもらいたいと強く思います。
 





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