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大前研一「ニュースの視点」
2009/03/06
〔大前研一「ニュースの視点」〕
KON252 そごう心斎橋本店、大丸へ売却~量(売り場面積)より質(個性)で顧客の心をつかめ!~大前研一ニュースの視点~

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セブン&アイHD
そごう心斎橋本店 大丸へ売却
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●売上が上がらないのに、売り場面積だけを増やしても効果はない

 先月26日、セブン&アイ・ホールディングスは傘下のそごう
 心斎橋本店(大阪市、店舗面積4万平方メートル)をJ・フロ
 ントリテイリング傘下の大丸へ売却すると発表しました。

 売却額は379億1000万円。メガ百貨店同士の大型店売買は初
 めてになります。

 そごう心斎橋本店の年商は440億円(2008年2月期)。そごう
 は8月末をメドに同店を閉鎖し、その後、大丸へ引き渡す予定
 とのこと。

 大丸は隣接地に持つ大丸心斎橋店とあわせて約7万8000平方
 メートルを一体的に運営することで、大阪地区での競争力を高
 める狙いを持っています。

 現在のそごうは、2003年、十合及び西武百貨店と共に3社で発
 足させた持株会社・株式会社ミレニアムリテイリンググループ
 に属しているわけですが、セブン&アイとしては全くミレニア
 ムリテイリンググループに対するシンパシーを感じていないの
 でしょう。

 そごうの心斎橋店といえば、本店であり旗艦店だと思っていま
 したが、それをあっさりと売却してしまう点にセブン&アイの
 思惑が伺えます。

 そごうはかつて野村グループに買われ、その後セブン&アイに
 売却されていますが、すでに野村グループに買われた時点で「そ
 ごう魂」は完全に奪われていたのだと私は感じてしまいます。

 今後、大丸がそごうを受け入れてどのような戦略を考えている
 のかという点に注目が集まると思いますが、私には大丸の狙い
 がもう一つ理解できません。

 そもそも大丸に限らず、百貨店業界全体が戦略的な構想を描け
 ているのか、疑問に感じています。

 大阪市内の主な百貨店の現況を見ると、明らかに大阪は百貨店
 がオーバービルド状態にあります。大型百貨店の売り場面積は
 次のように巨大です。

 ・阪急百貨店梅田本店:6万6237平方メートル(12年に8万4000)
 ・高島屋大阪店:5万6000平方メートル(10年に7万8000)
 ・近鉄百貨店阿倍野本店:8万2488平方メートル(14年までに10万)
 ・阪神百貨店本店:5万3683平方メートル

 そして、大丸は心斎橋店:3万7490平方メートル、
 梅田店:4万416(11年に6万4000)平方メートルに加えて、
 そごう心斎橋店:4万780平方メートルを抱えることになります。

 いずれの百貨店もこれから数年のうちに、売り場面積の拡大を
 見込んでいるのが分かります。

 しかし、一方で百貨店の売上状況を見ると全く伸びていません。
 正確には、全体としては約10%ずつ下降の一途を辿っています。

 この状況で売り場面積だけを大きくしても意味はないと私は思
 います。当たり前のことですが、売り場面積が大きくなっても、
 大阪の「財布」が大きくなるわけではありません。

※「百貨店の売上状況」 チャートを見る
  

 もちろん、阪急百貨店梅田本店のように収益率も高く、売り場
 面積の拡大を図っている店舗もあります。

 阪急はメンズ館の調子が良いですし、デパ地下も好調です。で
 すから、十把一絡げに百貨店の売り場面積の拡大に効果がない
 と思いません。やり方によっては効果を発揮するでしょう。

 しかし殆どの百貨店にとって、その効果は薄いと私は見ていま
 す。百貨店業界を見ていると、顧客が今何を求めているかを十
 分把握できていない人が少なくないのではないかと感じます。

 百貨店に入っているテナントも百貨店そのものでさえも、どの
 百貨店に行ってもそれほど大きな違いを私は感じることができ
 ません。

 百貨店業界全体として、差別化を図る意識が低く、昔ながらの
 感覚を引きずっているのではないかと思います。

 そういう意味で、大丸がそごう心斎橋店を買って売り場面積を
 倍にしたところで、特に何ら戦略を持たずにいるのではないか
 と不安を感じてしまいます。





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