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大前研一「ニュースの視点」
2006/06/23
〔大前研一「ニュースの視点」〕
#118 日産自動車国内の2つの工場で減産へ

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 日産自動車国内の2つの工場で減産へ

 操業時間を半減し、2割程度の減産
 国内での小型車投入なしの販売低迷へ対処する
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●翳りが見え始めたカリスマ経営。その小さな兆しとは?

クリステンセン教授が提唱する「イノベーションのジレンマ」
という考え方があります。

過去の成功体験が、将来の失敗の原因になってしまう
というジレンマです。

今の時代、このジレンマに陥るサイクルが
どんどん短くなってきています。
このサイクルが短くなると、例えば、今まさに過去最高益を
記録している企業であっても、実はすでに次なる失敗の翳りが
何らかの兆しとして見え始めていることがあります。

今期過去最高益を達成した松井証券、
歴史的なV字回復を果たした日産自動車。
どちらもカリスマ経営者の手腕による成功例ですが、
すでにその翳りの兆しが見え始めていると感じます。

今回の日産自動車の国内工場の減産発表というのは、
その最たる例に過ぎません。
この他にも、私はゴーン氏によるカリスマ経営に
翳りが出始めている兆しをいくつか感じています。

現在ゴーン氏はルノーの会長と日産のCEOを兼任していますが、
兼任という形でまともに日産のCEOとしての役割を
果たせるとは思えません。

例えば、ゴーン氏の時間の使い方を見てみると、
1ヶ月のうち、日本・フランス・その他の国で、
それぞれ10日ずつ費やすことになっています。

ということは、事実上、日産の経営には1/3の時間と労力しか
割いていないということです。
日産の競合であるトヨタや本田を考えれば、
フルタイムの時間を割いても勝てるかどうかわからない相手です。

日産はV字回復こそ果たしましたが、
それはあくまで緊急患者でなくなったという意味で、
まだまだ放っておいて大丈夫という状態ではありません。

また、マスコミに露出することは多いですが、
最近では日産の経営のことではなく、奥様の書いた本や
レストランのPR記事を目にすることが非常に多い。

まれに経営の記事を目にすることがあっても、
それは3年前のV字回復の話であって、
「これから将来、トヨタに対してこういう手を打つ」
というような日産の経営に関する将来的な展望の記事であることは
めったにありません。

さらにマスコミへのパフォーマンスとして象徴的なのは、
日本に帰国したときに行っている日本全国のディーラー回りです。
本来なら自分ひとりで回って経営課題を把握すれば良いのに、
なぜかカメラ・マスコミを連れて回っています。

こんなものは経営パフォーマンス・演技であって、
私から言わせれば、経営をやっているうちには
入らないと思います。

これらの小さな兆しは、今はまだ決算上の数字に
大きく表れていません。
しかし、このままだと来年以降の数字には徐々に
現れてくるのではないかと思います。

今回の工場減産という事態を小さな兆しとして、
そして先行指標として捉えれば、
将来的に決算の数字に影響を与える前に
手を打つことも可能になるでしょう。

                         -以上-





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